システムサコムがFM TOWNSに残した唯一の完全オリジナル作品『EVOLUTION』(1988)。そのゲーム音楽に完全リマスタリングを施し、EGG MUSICにて初サントラ化した。
本作はサコムの名物プログラマだったマーク・フリントが、TOWNSという新しいマシンのポテンシャルに感銘を受けて開発したゲームであり、当時のパソコンゲームに類例をみない流麗な3Dグラフィックスを特色としている。また音楽面でも、同社のメインコンポーザ・斎藤学が、MIDIシンセサイザを用いた楽曲制作に初挑戦し、CDオーディオのアドバンテージを活かすべく奮闘している。
当時はまだMIDIに不慣れな彼だったが、同僚の染谷邦裕がデータ入力を担当したこともあり、荒削りながら処女作としては申し分のない聴き応えに仕上げている。MT−32をメインに据えたジャズファンク色の濃厚なサウンドは、彼の他作品には見られないスタイルであり、「従来のゲームミュージックとは違ったものを作る」という意気込みの賜物であるといえるだろう。この作品での経験は、彼が手がけた日本初のMIDI対応ゲーム『38万キロの虚空』へと繋がってゆく。