1988年に数々の機種で発売されたノベルウェア・シリーズ第一弾『DOME』。そのゲーム音楽がひとつにまとまり、コンプリート・サウンドトラックスとしてEGG MUSICに登場だ。各音源の代表としてPC-8801版(OPN), X68000版(OPM), FM-7/77版(PSG/OPN)*1を収録しているので、それぞれ微妙に異なる味わいのサウンドをお楽しみいただきたい。
人類を核の破滅から救う現代版ノアの箱船「THE DOME」、主人公はその建設の為に奔走する。冷戦下、滅亡の恐怖と常に隣り合わせだった80年代という時代を色濃く反映した物語は、BGMにおいてもドラマチックな様相をみせる。
作曲はプロフィール不明のKuniko Sakurai、数々のサコムゲームの曲を手がける斎藤学、そして『メルヘンヴェールII』の佐藤浩一(スタッフロール順)と、三人の共作となっている。残念ながらどの曲を誰が手がけたのかまではわからないが、筑波科学博のファンファーレなどは佐藤浩一ではないか?と予想しながら聴くのも楽しいだろう。
『DOME』のゲームミュージック面における特徴のひとつに、プレイ中の要所要所でしかBGMが流れないという点が挙げられる。その為ループしない(演奏がきちんと終了する)曲が多いのだ。ノベルウェア第一弾として演出面にずいぶん気を遣ったであろう事がうかがえる。
*1 FM-7/77のPSG版は元音源の性質上、若干ピークオーバーしております。あしからずご了承ください。また同OPN版は、PC-8801と明らかにアレンジ/ミックスの異なる2曲のみを収録しております。