『メルヘンヴェール』に始まるサコム・フィールドアクション路線の佳作『ヴァルナ』 (1989)。そのサウンドトラックをEGG MUSICにて初サントラ化!
本作は『プロヴィデンス』の直後に発売されたもので、音楽も同じく故・斎藤学氏が手がけている。彼がPC-8801で担当した作品はこれが最後となるが、それだけに音源さばきも堂に入ったものであり、とりわけFM音色の重厚さでは、当時の数ある8801作品のなかでも群を抜いているといえるだろう。
『プロヴィデンス』〜『ヴァルナ』当時、斎藤氏は古代祐三氏の存在をかなり意識していたという。じっさい両作品は、当時の王道ゲームミュージックを彼なりにとことん突き詰めたものとなっており、同時期に展開しはじめていたムード重視の「ノヴェルウェア」サウンドとは、かなり趣を異にしている。
この王道路線は、『ヴァルナ』でひとまず完結する。以降は誰とも違ったスタイリッシュなサウンドを掘り下げていく彼だが、本作は『ユーフォリー』に始まる初期斎藤学サウンドの集大成として、見逃せないポジションにあるといえるだろう。
なお今回は通常音源(OPN)版・サウンドボードII(OPNA)版の二種類を、未収録曲まで余さず網羅している。通常音源版は実際のゲーム上での演奏において一部の音が欠けるという難点があったが、今回の収録ではこれを修正し、完全なサウンドをお届けしている。