ブランディッシュ2 -The Planet Buster-

ブランディッシュ2 -The Planet Buster-

世界観&システムを進化させた『ブランディッシュ』の続編!

1993年に発売されたアクションRPG『ブランディッシュ2 THE PLANET BUSTER』は、前作で評判だった独特のフルマウス・オペレーション、探索済みの領域をマップに記してくれるオートマッピング機能、プレイヤーがマップに書き込める機能などを踏襲しながらも、新たにマップ上で移動先をクリックすれば自動で移動してくれるオート移動や、武器のバリエーションの追加といった新要素を盛り込んだ意欲作である。もちろん、前作同様に主人公はアレスであり、名脇役ドーラ・ドロン嬢の勇姿も再び見られるというのもファンには嬉しい限りだ。システム面、ストーリー面ともに正統派の続編といってもいいだろう。

小国ブンデビアのバドラー王は、自らの権力を増大させる欲望にとらわれ、大預言者ベネディクトに“全てを制する力の源”の在り処を占わせた。するとベネディクトは「地の底より生還せりし剣士あり。力の一部を持ち帰り、流浪の果てに小国ブンデビアを訪れん」との託宣を下したのである。それから2年後、“力の源”を探索するブンデビアの軍勢に捕らえられたアレスは、監獄島に送られてしまうのだ。奪われた“プラネットバスター”を取り戻すべく、アレスは入り組んだ監獄島からの脱出を図るのだった……。

もちろん今現在から振り返ってみても、本作の操作性は独創的である。画面上の主人公の位置は固定で、向きを変えると周囲のグラフィックが回転する。マウスカーソル位置とクリックで移動と攻撃のすべてを行う操作はシンプルでいて奥が深い。慣れるまで時間がかかるので、最初のうちは雑魚モンスターを倒すのにも四苦八苦する。しかしふと気がつくと、いつの間にか自分でも驚くほど素早い直感的な操作ができるようになっているのだ。それがこの作品の大きな魅力のひとつと言えるだろう。

これは『2』の導入部であるが、本作は副題が示すとおり、前作の最終局面で主人公アレスが手に入れた最強の剣“プラネットバスター”を巡るストーリーである。日本ファルコムのRPGにおいてひと振りの剣がシナリオ的に重要な役割を担うことも多く、ドラスレシリーズにおける“ドラゴンスレイヤー”、英雄伝説ガガーブ三部作における“エスペランサー”と並んで、“プラネットバスター”もまたイチシリーズを象徴する剣であり、これらを日本ファルコムの三大名剣と呼ぶこともできるだろう。

柔軟な武器使用のバリエーション、ドーラのドジっぷりも健在

ゲームの流れということで言えば、最初から最後まで隔絶された迷宮を探索し続けた前作と異なり、本作ではちゃんとした町も登場する。ゲーム進行は一本道ではなく、すでに攻略したエリアにあえて戻る場面もしばしばある。こうした世界観の拡大は『1』からのプレイヤーにとって新鮮に感じられるはず。ストレスのないプレイを実現するオート移動の便利さと相まって、飽きのこない続編に仕上がっているのだ。

さて『2』になって様々な追加要素があるが、その中でもっとも大きなものが武器のバリエーションの増加だろう。前作では左手に盾、右手に武器と装備できるアイテムが固定されていたが、本作では片手武器を両手に装備して“二刀流”で戦えるほか、なんと両手に盾を装備することもでき、ガードを固めつつ盾で相手を殴りつける攻撃法も可能である。おまけに盾は壊れることがないので、思う存分モンスターを連打できるのだ。

“二盾流”(?)は、耐久値を意識して武器を節約しながら戦っていかなくてはいけない『ブランディッシュ』特有のプレイスタイルから逆算して考案された、ゲーム史上でも他に類を見ない攻撃方法といえるだろう(「両手に盾を装備する」という発想は本作以前に1990年のファミコンソフト『ファイナルファンタジー3』で採用されているが、これはあくまでもガードを固めるだけで盾による攻撃はできなかった)。また、攻撃と防御を兼ねる両手武器なども登場する。強敵に短期決戦を仕掛けるには攻撃力の高い剣の二刀流で、雑魚敵に囲まれやすい場所ではガードの堅い両盾で等々、戦闘局面に応じて手持ちの装備を使い分け、自分なりの戦術をあみ出してほしい。

さて、前作同様に本作でも大活躍のドーラ・ドロン。今回は意外にもアレスに協力的である。それは彼に“プラネットバスター”を取り戻させておいて、自分はその力をいただこうという楽天的な思惑があるからなのだが、彼女のドジっぷりは相変わらずである。セクシーなコスチュームとヘマを踏んでボロボロになる姿を見て、やはり彼女のモデルは『ヤッターマン』のドロンジョ様に違いないと確信したファンもいたとか、いないとか。

続編作りのうまさには定評のある日本ファルコムだが、この『ブランディッシュ2』もシリーズの一貫性とダイナミックな新展開を両立させた絶妙な一本である。随所に『3』への布石が打たれているのも見逃せない。敵役としてアレスと因縁を持つ傭兵カールなどが登場し、ヴェールに包まれたアレスの謎の一端を垣間見ることもできる。そのあたりを深読みしつつプレイするのも一興だろう。

Text by 望月倫彦(2011.06.04 掲載)

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