思ひ出小箱

シルバーゴースト

今でも通じる!?時代を先取りしたゲームシステムの面白さ

シルバーゴースト

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発売年:
1988年
メーカー:
呉ソフトウェア工房
機種:
PC-8801
ジャンル:
シミュレーション
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RTSの元祖!?

リアルタイムストラテジー(以下RTS)というジャンルが確立したのは、米国のWestwood「Command&Conquer」シリーズ(1995年)や、Microsoftの「Age of Empire」シリーズ(1997年)によるところが大きい。これらはリアルタイムで、資源の回収、軍の育成などを行いながら敵の拠点を制圧するというものであり、戦略/戦術の魅力が楽しめるという特性を持っている(資源の回収がなく、戦略戦術に特化したものもある)。

ちなみに「エイジ・オブ・エンパイア公式ガイドブック」を見ると、それらの祖となったのは、メガドライブで好評を博した「ヘルツォーク・ツヴァイ」(1989年)と記述されている。また海外の大手デベロッパの開発者の中には、たしかに「ヘルツォーク・ツヴァイ」(1989年)に影響を受けてRTSを開発したと話す者もいることから、RTSという考えは日本が発祥といってもよさそうだ。

  • ルシアスの反乱によって、イングランド王アスロットが殺された。忘れ形見となったランスロットは、キャメロット城を取り戻すべく立ち上がる。

そうしたRTSの原点を語る際に欠かせないタイトルがある。それが呉ソフトウェア工房のゴチャキャラシリーズだ。というのは、ある意味、この作品は今のソフトにも見られない独自のゲームシステムを持っていて、それは今でも通じる部分があるからである。今回は「シルバーゴースト」を取り上げ、本作の素晴らしさを紹介していこう。

  • 冒険を進めていくと仲間が増えることも。写真は序盤に仲間になるギャラハッド。

ゴチャキャラシリーズ第一弾

ゴチャキャラシリーズの第一弾は、1988年にPC-88でリリースされた「シルバーゴースト」で、魔術を操るルシアスの反乱によって、イングランド王アスロットが殺されてるところから始まる。王は倒れ、キャメロット城は陥落したものの親衛隊長らの活躍によって王子のランスロットは一命をとりとめた。そして成長したランスロットがキャメロット城の奪還を目指して立ち上がる……というのがバックストーリーとなる。

  • 戦略マップでは旗の位置で味方の進行度合いがわかる。要所には強力な部隊を配備したい。

本作は、戦略マップで軍の配置を考え、戦術マップではリアルタイムで兵が戦うという(当時としては)革新的なゲームだった。今で言うところのRTSに酷似しているといえる。さらに単に勝てばいいわけではなく、ちゃんとシナリオもあって、ボスキャラなども登場するし、各地を冒険・探索することで仲間が増えたり、装備が手に入ったりもする。さらにキャラは戦うことでレベルアップする仕組みとなっていた。今でいうところのRTSにRPGの要素を上手にリミックスしていると言える。実に興味深いシステムといえるだろう。

  • 戦略マップではリアルタイムで軍を操作。モンスターと戦ったり、第三勢力を仲間にしたりできる。写真はアマゾネス軍。

ほかにもまだまだ本作ならではの味付けはある。それは、キャラクター(クラス)によって、性格付けがなされている点。一般的なRTSなどではユニットはプレイヤーの思い通りに操作できる。が、本作ではそうではない。傷ついたキャラは自分の意志で戦場を離れて休憩するし、弓兵なども敵との距離をとって戦おうとする。中には負けん気がつよいのか、絶対に引かないクラスもいる。ユニットにこうした個性を植え付けたことで、本作のキャラクターたちは生きているように見え、これらは、いまのRTSにも見られない秀逸な味付けだと思う。コマになりがちなキャラクターに見事に命を吹き込んでいる点は大きく評価しても良いだろう。

  • 部隊の編成なども可能で、主役級のメンバーばかりのチームなどを編成しても面白い。

当時、ゴチャキャラという名称で親しまれた本シリーズだが、もう何年も新作は登場していない。また、これに影響を受けたような作品も後に登場することはなかった。残念ながら大ヒットとはならなかったが、本シリーズは知る人ぞ知る名作として、今もなお熱烈なPCゲームファンに支持されている。

  • 実はCディスクで起動すると、学園モノとしてスタートする裏技があった。EGG版でもフォローしているのでぜひ試して欲しい。