レトロゲームの歴史を見ていると、アドベンチャーゲームの黄金期は確かに存在した。瞬時に描画することで話題になったシステムソフトの「ミコとアケミのジャングルアドベンチャー(1983年)」や日本ファルコムの「デーモンズリング(1984年)」、数々の機種に移植されて一大ブームとなったエニックスの「ポートピア連続殺人事件(1983年)」ほか、同年代にはスタークラフトから「ユリシーズ(1983年)」、「ザ・クエスト(1984年)」などの海外の名作がローカライズされてリリース。アドベンチャーゲームの黄金期でったことはまちがいない。そういえばこのころから大作嗜好というものもあり、前述した「ザ・クエスト」はディスク4枚組みだったし、「タイムゾーン(1985年)」などもディスク6枚組の大ボリュームで、容量が多い=大作といった図式が浸透していた時期でもあったように記憶している。
宇宙空港に到着した主人公。パスポート持ってないってどういうこと?(汗)
そうした中、国産では1983年にT&Eソフトからリリースされた「惑星メフィウス」はスターアーサー伝説シリーズ第1作と銘打たれていることからも分かるように、続編が作られることを想定したタイトルだった。続編として1983年には「暗黒星雲」、1984年には完結編となる「テラ4001」がリリースされ、全部三部作で語られる壮大なストーリーに魅了された人も多いだろう。今回は第一部となる「惑星メフィウス」を紹介していこう。
鉄格子を外して壁に穴を開けろ! ここでハマッてしまった人も多いとか。
「惑星メフィウス」は、プレイヤーが主人公のスターアーサー・ミルバックとなって、外宇宙からの敵ジャミルの野望を打ち砕くために伝説の剣レイソードを求めて惑星メフィウスを探索するアドベンチャーゲーム。その雰囲気はまるでSF版のアーサー王伝説といったところで、スターウォーズに影響を受けていると思われる世界観は当時話題になった。
スターウォーズを感じさせる世界観。登場するキャラも実にユニークだ。
基本的には「キク」「ナゲル」「トル」「シラベル」「ウツ」「タタク」「アケル」「ハイル」「カウ」「イロ」といった行動とカーソルを使って攻略する。会話については話し言葉を入力するといった感じだ。当時のシステムではちょっと独特な方式だった。難易度はかなりのモノで、おそらくヒントなしでは攻略は不可能に近い。最初の牢獄のシーンでは、なんとか脱獄しなければならないが、正解は何度か鉄格子を叩いて鉄パイプをはずし、それで壊れやすい壁を何度も殴って脱出となる。間違えてガス管などを外したりすれば、ガスが噴出してゲームオーバー。実はこのシーンだけで挫折してしまったプレイヤーもたくさんいた。当時、本作を攻略しようと思ったら友達と情報交換したり、雑誌の攻略記事を参考にしたりと、自分の勘だけではなく、あらゆる物を駆使して攻略した記憶がある。当時は解けなくて当然のアドベンチャーゲームも多く、本作はそうしたタイトルの一つだったのだ。ある意味、メーカーとプレイヤーの知恵比べ、いやメーカーの挑戦状にどうやって応えるか? といった雰囲気だったといってもいいだろう。
宇宙港で正しく答えておかないとここでお金がもらえず、はまることになる。
惑星メフィウスにもT&Eソフトが! 当時のゲームにはこうした遊びも多かった。
牢獄、シティ、広大な砂漠、そしてピラミッドへとレイソード探しの舞台は広く、エンディングまでの道のりはかなり困難。剣を手に入れればゲームはエンディングとなるが、そこでは続編へ続くことが表示され、物語は「暗黒星雲」や「テラ4001」へと続いていく。続編ではアクションシーンなども追加されたり、昼夜の概念が追加になるなど、ゲームシステムなどにも新要素が付加され、より攻略は手応えのあるものになっていった。日本のアドベンチャーゲーム史に名を記した大作だけに、一度はチャレンジしてもらいたい。そして気に入ったらぜひとも続編にも手を出してもらいたい。
20×20の広大な砂漠。ここでカードや暗証番号を求めて探索することになる。
レイソードが眠るピラミッドに入るには暗証コードが必要。間違うと即死。