当時だからこそできた?禁断のアクションRPG
学生時代は夢中になってPCゲームをプレイしたが、さすがにどんなにおもしろくても、似たような世界観ばかりだと飽きてくるものだ。そうしたことを分かってか、メーカー側も様々なアプローチを見せてくる。これまで中世ヨーロッパが主流で剣と魔法の世界だったところに、レーザーなどが飛び交うSFを持ってきたり、ゲームの舞台を日本にしてみたり……。不思議なもので、似たようなゲームであっても、テーマが変わるとなぜか遊べてしまう。そんなこんなで、メーカーの戦略に見事踊らされた筆者は、80年代はゲームどっぷりの人生を歩み、やがてゲーム業界へと就職することになる。
そうしたマンネリズムを解消してくれたゲームというと、ぱっと思い出されるのが日本テレネットのXZR(エグザイル)だ。アラビアを舞台にアサシン(暗殺者)が活躍するという、まったく新しいアプローチに当時はしびれたもの。とはいっても当時はチョコと言われても何のことか分からず、チョコレート?くらいにしか思わなかったが、今改めて見なおすと新しい発見もあり、渋いなと思わされる部分も多い。これは予備知識だが、歴史的にアサシンとは実在しており、麻薬をキメながら殺人を行ったらしい。ちなみに大麻樹脂を指すハシシが変化してアサシンとなったというのはよく知られている話で、よくぞこんな世界観をゲームにしたなと感心させられる。もちろんゲームにもアイテムとして多種多様な麻薬も多数登場することから、当時は規制が緩かったのでリリースできたのかもしれないが、いま新作としてこんなタイトル出したら、下手をすると教育団体などに目を付けられ、PCゲームを叩く格好の口実になりそうだ。
主人公は最強のアサシンと恐れられたサドラー。なかなかにカッコイイ。
正面から入れないなら裏口から。昔のゲームには多かったテクニック。
本作ではアサシンのサドラーが、セルジュク朝の教皇を暗殺を目指すものとなっている。主人公が正義のヒーローでもなければ、夢見る若者でもない、麻薬の常習者で恐れを知らぬ最高の暗殺者という設定は異彩を放っており好感触だった。
最初に潜入する牢獄。敵の攻撃が強力で二撃でゲームオーバー。注て戦いたい。
ゲーム自体は2Dのフィールドを探索してストーリーを進め、ダンジョンなどでは、サイドビューのアクションRPGになる。テンキーで主人公のサドラーを移動やジャンプ、Zキーで武器を振り、Xでメニューと操作もごく簡単だし、ジョイスティックにも対応している。もちろん、定番ともいえるボスキャラなども登場し、緊張感のある戦闘を楽しめる。
アイテムとしてドラッグが多数登場する中、写真のようなパロディアイテムもチラホラ。
また単にバックストーリーだけではなく、ゲームシステムにもアサシンらしさが盛り込まれている点は評価したい。プレイ中には画面右側にバイオリズムのようなものが表示されていて、これは赤色が攻撃力 青色が防御力を示している。この二つのゲージは常に変動しているが、ドラッグを服用すると各ゲージを高い数値で固定でき、ラクに戦闘できるというわけだ。しかし、あまり強い薬を服用すると薬が切れた瞬間に反動で死んでしまうこともあり、そうした場合は薬が切れる前に解毒剤のような薬を飲むことで死を回避できる。こんなに薬まみれ……いやアサシンらしい主人公は、今後も現れないだろう。
牢獄の第一のボス? フェンシング対サーベルの戦いやいかに?
今遊んでみると、やや簡単かな? と思う部分もあるが、異色のアクションRPGをプレイしたい人は、ぜひともチャレンジしてもらいたい。これは余談だがオープニングでF5キーを押すとミュージックモードにもなる。80年代のレトロゲームミュージックは、なかなかに味わい深いので、機械があればそちらも併せて楽しんでもらいたい。
オープニングでF5を押せばミュージックモードになる隠し技もある。