「Rogue」というタイトルをご存じだろうか? これは1980年頃にアメリカで大学生だったMichael Toy、Glenn Wichman、Ken Arnoldもよって開発されたRPG。当時はグラフィックスによってゲームは表現されてはおらず、冒険者は「@」、ポーションは「!」モンスターは「A」~「Z」のアルファベットなど、文字だけでマップやアイテムを配置し、構築したダンジョンを冒険するものだった。「Rogue」は名作テーブルトークRPGのD&Dをベースに開発したことと、遊ぶ度に変化するマップなどの魅力は大好評で、その人気は瞬く間に広まり、後に影響されたソフトが多く登場した。マイナーどころでは、Avalon Hillの「Telengard」や「Fortress of the Witch King」なども「Rogue」の系譜に連なるタイトルで、かつて筆者は夢中になってプレイしたものである(知ってる人いるかな?)。
ゲーム開始時に王様に話し掛けると王子が仲間に! できればお姫様がよかったなぁ(苦笑)。
近年の有名どころで言えば、PCでは「ディアブロ」もそうだし、国産タイトルとしてはコンシューマーでは「トルネコの大冒険」、国産PCゲームでは「エルダーブレイズ」や「ティル・ナ・ノーグ」なども「Rogue」の影響を大きく受けている。前述したいくつかのタイトルの開発者達と話す機会もあったが、みな「Rogue」へのリスペクトを口にしていたのは懐かしい思い出だ。
趣味に走った編成も面白い。魔獣や動物ばかりを集めてみるのもなかなかに面白いぞ。
今回テーマとして取り上げるのは、システムソフト(現システムソフト・アルファー)の「ティル・ナ・ノーグ」。筆者は初代の「ティル・ナ・ノーグ ダーナの末裔」(PC-9801版)が大好きなのだが、今回はPC-9801版をベースに開発された「ティル・ナ・ノーグ禁断の塔」(PC-8801版)を取り上げてみたいと思う。
出発の街。マップは俯瞰で表現される。移動する毎に時間の経過もある。
本シリーズはマップだけではなくシナリオまで自動生成する点が最大の特徴。作り出される無数のシナリオは、様々な展開が楽しめるとして当時大きな評判を呼んだ。こうしたシナリオジェネレートシステムは日本初で、当時はシナリオのコードをメモしておき、友達と同じシナリオを選んで早解きや情報交換しながら楽しんだりしたものだ。雑誌などでもシナリオコードを掲載して、一緒に攻略しよう! みたいなノリは非常に楽しかった。
夜にエンカウントして緊張していると、妖精が仲間になりたいと話し掛けてきた!
ゲームは街からスタートし、お城で王様に謁見した後(お姫様や王子が仲間になることも!)、宿屋で仲間を募ったり、武器や防具を整えたら冒険に出発となる。マップは俯瞰視点で歩いてない地域でも表示されているが、ダンジョンなどは未踏破ゾーンはブラックアウトして表示される仕組みだ。
ダンジョンでは歩いていない場所はどんな地形か分からない。緊張感のある冒険が楽しめる。
戦闘はエンカウント方式で半自動で行われ、プレイヤーは指示を出すだけ。敏捷性の高いキャラから移動や攻撃を行う。片手でプレイできるというプレイアビリティはよくできている。戦闘中にはキャラクターの状態が変化することがあり、防御を命じているのに勇敢に戦ってしまったり、勝手に防御になってしまうヤツも……。このあたりは賛否両論かもしれないが、キャラクターが生き生きとしていてよいと思う。敵にも名前が付いていたり、ピンチになるとヒールや仲間を呼んだりするヤツもいて、戦闘は結構楽しめるものとなっている。
一度も倒したことがないモンスターは、ヒットポイントやレベルも不明。初戦闘は緊張する。
個人的に好きなのは、仲間になるキャラが多いこと。冒険中にエンカウントしたと思ったら、敵ではなくドラゴン、動物、精霊などが仲間になったりもする。ハーレムのようなパーティーだって、動物ばかりの個性的なパーティだって編成できる。それほど使えるわけでもないのに、ファルコンを一生懸命鍛えて鷹匠のようなプレイに精を出した記憶もなつかしい。た個人的には当時マイナーだったケルト神話にスポットをあてていた点もツボで、本作をプレイしてケルト神話に目覚めたなんて人もいたんじゃないだろうか? 比較的正統派のRPGなので、その手のファンなら今でも楽しめることは請け合い。神話好きなら一度は試してもらいたい。
戦闘では指示を出して眺めるだけ。仲間を呼んだりする敵などもいて非常にやっかいだ。